絵本画家リスベート・ツヴェルガーの童話と融合した芸術の世界。
はじめに
みなさん、童話はお好きですか?ディズニーの人気ぶりからもわかるように、メルヘンの世界は心をときめかすものがありますよね!今回ご紹介するのは、そんな童話に合う挿絵を手がけてきたオーストリアのイラストレーター、絵本画家のリスベート・ツヴェルガーさんです。
オズの魔法使い
まずは次の「オズの魔法使い」の書影をご覧ください。
赤、青、灰色を基調とした抑えた色数。深紅のケシの花の鮮やかさがひときわ目立ちます。画面中央で眠るのは主人公ドロシーとその飼い犬トト。彼らを支えているのはかかしとブリキのきこり。ドロシーとトトはケシの花の香りのせいで眠り込んでしまいますが、無機物であるかかしときこりは平気なのです。童話の原文では「手を座面に、うでを椅子のうでにして、花の中を眠る少女を運んでいきました。」と書かれています。ちなみに臆病なライオンは、体が大きいため眠り込んでは大変なので大急ぎで花畑を抜けるため先に行っているのでこの場面では不在です。
ブリキのきこりに反射している花の赤やかかしの服の青といい、陰影表現が光る作品です。
不思議の国のアリス
さらにもう一枚見ていただきたい作品があります。「不思議の国のアリス」より、有名なおかしなお茶会のシーンの挿絵です。
リスベート・ツヴェルガーさんのアリスは茶色い髪に白いシャツ、黒いベストのようなものを着ています。過去に挿絵を描いた有名なジョンテニエルからはじまり、ディズニー映画で定着した黄色い髪に青いワンピースとエプロンをつけたスタイルとは大きく異なります。1954年に生まれたリスベート・ツヴェルガーが1951年作のディズニー映画版を見た可能性は高いですが、それに左右されない確固たるオリジナリティが垣間見えます。マッドハッターも黄色い帽子を被っており、ディズニー版の緑の帽子とは印象が変わっています。
この場面では三月ウサギがマッドハッターの狂った時計を直そうとして、お茶にちゃぽんと時計をひたしているところが描かれています。
シュールな距離感がじわじわくる一作でしたね。
おわりに
いかがでしたか?リスベート・ツヴェルガーさんは他にもアンデルセンやオー・ヘンリーなどの挿絵なども手掛けています。気になった方はGoogleやピンタレストで「lisbeth zwerger」とネット検索をかけてみてください。彼女の来歴なども知ることができます。
それでは、今回もみなさんに瞳の至福が訪れますように!