まんぷくまなこ

文学部美術史学専攻卒の穂葉るながお届けする、美術に関するブログ。素敵な作品と作家さんを紹介します。たまに人材や教育の記事も。

独特の世界観!絵本作家ビネッテ・シュレーダーに注目!

はじめに

今回ご紹介するのは、ドイツの絵本作家ビネッテ・シュレーダーさん。まずは、次のポスターを見ていただけないでしょうか?(2014年の伊丹市立美術館での展示の告知ポスターです)

「おともだちの欲しかったルピナスさん」

いかがでしたか?「おともだちの欲しかったルピナスさん」という絵本の一場面です。浮遊感がくせになる不思議な絵ですよね。豊かな色彩感覚に、ユーモア溢れるキャラクター、練られた画面構成など、作品の魅力の一端を感じていただけましたか?独特の世界観に惹かれる方も多いのではないでしょうか。

生い立ち

ビネッテ・シュレーダーさんの生い立ちはというと、1939年ドイツのハンブルグ生まれ。今年2019年で70歳になる作家さんです。3歳の時、戦争の影響で南ドイツの山あいの町ガルミッシュ・バルテンに疎開し、母方の実家で16歳まで過ごしました。父親が戦死したあと、再び美術学生になった母親の影響を受け、早くから古今の美術に親しんできました。とりわけ中世やルネサンスの画集を絵本がわりにするほど。祖父の蔵書に囲まれて育ったこともあり、絵本を描くのが小さいころからの夢でした。
1957年から60年、ミュンヘンの私立美術学校で勉強。1961年から66年、スイス・バーゼルのデザイン学校で5年間、商業美術、石版印刷、グラフィックデザインの実技を学びます。その後、しばらくは写真家として身を立てながら、好きな絵本を描き続けます。1968年、ベルリンに移り、フリーのグラフィック・デザイナー、肖像写真家、イラストレーターとして活躍します。1969年、はじめての子どもの本「お友だちのほしかったルピナスさん」を出版。BIBの金のりんご章を受賞して広く認められました。
71年、法律家のペーター・ニクル氏と結婚。以後、多くの絵本を夫妻で共同して制作し、ミュンヘンへ移住します。78年、ミュンヘン郊外のグレーフェルフィングに移り、夫と愛犬トゥファと暮らしています。

写真家などアートに関わる仕事をするかたわら、念願の絵本作家としてもデビューを果たした来歴はまさに初志貫徹ですよね。その後も絵本を共作できる夫さんと出会えている点も素敵です。

まとめ

他の作品としては、グリム童話の挿絵や「美女と野獣」「ラタ・タム・タム」などがあります。気になった方はGoogle検索やピンタレストで「binette schroeder」で検索してみてください。掘り出し物があるかもしれませんよ!

それでは!今回もあなたに瞳の至福が訪れますように!


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